完調日記10
調日記(2010/06/28)
テーマは、われ『へうげもの』を寄贈せり! である。
前々回に、本は寄贈すべし、と書いたら、何か寄贈心と言うか、寄贈魂と言いますかに火がついて、本をどこかに寄贈したくなった。そんな寄贈魂なんてもんが、ほんとにあるのかどうか疑っている人もいるだろうけど、これ、マジにあるんです。
私の知り合いにはけっこう居ます。やたらと人にモノをあげたがる人が。。。
鎌倉の台という場所にお住まいの某先生などその典型でして、その先生、本をたくさん持っていらっしゃる。とにかく本を集めるのが趣味なのだが、全部(シリーズなど)集めるともう目的は達したということで、人にあげちゃうんですね。
え?読んでないのかって、うーんどうもちゃんとは読んでないみたい…。
とにかく集めるのが趣味なんだそうな…すごいでしょ、まさに後で出てくる「へうげ」た先生である。
実は、本学の言語文化研究所にある近代文学関係の本はその先生からいただいてきたものです。もう7,8年も前でしょうか、取りにくるなら好いよってことで、学生と一緒に鎌倉のお宅へお邪魔いたしました。ほんとはもっと戴けるはずだったのですが、送料の方が足りなくなり、それで諦めたという次第。
お邪魔して驚いたのは、色々な本がシリーズでずらっと並んでいたことです。たとえばハヤカワミステリー、全部揃っているらしいのですが、実は、出版社のハヤカワにももう無いらしいんですね。そんなイワク付きの本がずいぶんありました。
さて、それはともかく、じゃ、せっかくだから、ウチの茨キリ図書館に何か寄贈しようかと思ったわけですが、じつは、ウチの図書館は本がいっぱいで、寄贈してもあまりスペースがないんですね。
そこで、思いついたのが漫画です。あの2Fにある漫画コーナーはまだすこしスペースがありますので、そこで、
『へうげもの』山田 芳裕作 既刊10冊をどーん!
と寄贈することにしました。パチパチパチ。
この作品、知ってます?「ヘウゲモノ」って読んじゃだめですよ、「ヒョウゲモノ」です。
戦国時代の武将、古田織部の活躍を漫画化したものです。この織部は、じつに「へうげ」た人(「へうげた」は今で言えば「ふざけた」「おどけた」)でして、あの群雄割拠の戦国時代を茶道を中心とした芸術に狂いつつ、爽やかに駆け抜けました。彼がいかに「へうげ」た人であったのか、また、戦国武将たちが戦闘の傍らで、何故あれほどに「芸術」や「美」にこだわったのかが、この漫画を読むとよくわかります。
漫画のスペースに置いておきますから、興味のある方、読んでくださいね。なお、この作品、今年の手塚治虫賞を受賞しました。
次回は韓国出張にて一回休みます。
染谷智幸(そめや・ともゆき)所属は文学部文化交流学科
専門は日本文化(江戸時代)、日韓比較文学
父は人形師。その血を受け継いで人形をこよなく愛す。
写真はご存知、金太郎。