完調日記11

完調日記(2010/07/12)

 

テーマは、奎章閣に行ってみよう である。

 

前回にお話しした通り、6月30日(水)から7月4日(日)まで韓国へ行って参りました。

その7月1日(木)にソウル大学の奎章閣のホールで講演会を行いました。韓国の大学は6月末からすでに夏休みに入ってしまったので、学生さんの数は少なかったのですが、東亜日報などの新聞が取り上げてくれたお陰もあって、一般の方中心に50~60人程度の方が集まってくれました。私の拙い話を熱心に聞いて下さいました。

 

講演の題名は 「朝鮮時代の淫談、その明るい性の世界―日韓の自然観の違いをもとにして」というものでした。詳しい内容はちょっとここでは話しずらいので、

直接聞きに来てくださればお話ししますっ。

ただし、不謹慎だ!ふしだらだ!サイテー!とか言って怒らないように…。そちらが望んで聞きに来るわけですから。。。

 

ま、天下のソウル大、しかも後(次回)でもお話しするように、韓国随一の伝統を誇る図書館である奎章閣で、そんな不謹慎な話をしてきたのですから、我ながら大したもんですわ。偉いと言うか、アホと言いますか…。また、その話の中のとんでもない所で聴衆に大ウケしました。ま、ちょっとはウケるだろうとは思いましたが、大爆笑!!! え?どんな話かって、これは絶対ここでは言えません。言ったらたぶん図書館長、クビでしょうね。

 

でもさすがに東方礼儀の国・韓国。講演が終わってからカクシャクとしたハラボジ(お爺さん)が私のところへやって来られて「先生のお話は恥ずかしい」と真顔で、しかし礼を尽くされてお叱りになりました。そのハラボジの瞳が綺麗で、しかもどこか悲劇的な翳りがあったものですから、私は謝ることすら忘れて、ハラボジの話に聞き入ってしまいました(笑)。でも、嫌な感じはまったくしません。むしろ嬉しいくらいでしたから不思議です。なぜって、あの瞳、昨今の日本人にはあまり見かけないんですよ、昔は居たんでしょうけど…頑固親父と言うのともちょっと違うのですが。。。

 

こういうハラボジやハルモニ(お婆さん)に会うと、いつも韓国へ来て良かったと思います。何て言ったら良いんでしょうか、良い意味でも悪い意味でも、筋が一本通っていると言ったら良いのでしょうか。何事にも真っすぐなんですね。人との対し方に駆け引きが無いんです。

 

不思議なことに、今回私が九州で見つけた『紀伊齋常談』もそうなんです。これは淫談、つまり猥談でかなりエゲツナイ話が入っているのですが、不思議とあのハラボジに通じる、一本筋が通ったところがあるんです。上手く説明できないのですけどね。日本の落語や笑い話にあるような読み手・聴衆に媚びるという「甘えの構造」がないと言っておきましょうか。

 

で、なぜ韓国の猥談には筋が一本ビシッと通っているかと言うと、これ、今回講演を行った奎章閣とも関係があるんです。その話は次の回にじっくりと…。

 

それにしても、あのハラボジ、まだ怒っておられるかなぁ。

 

(下のURLは講演についてのネットでの配信記事。ただし韓国語)

http://news.donga.com/3/all/20100701/29536238/1

 

CIMG4102

染谷智幸(そめや・ともゆき)所属は文学部文化交流学科

専門は日本文学(江戸時代)、日韓比較文学

父は人形師。その血を受け継いで人形をこよなく愛す。

写真はご存知、金太郎。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。